特集レポート

『ジャパンメイド』の製造現場やクリエイターのアイデアの源泉など、
商品開発のヒントとなる情報をレポートします。

ジャパンメイドへの試み 「THE CASK AGING」
2021.09.14

ジャパンメイドへの試み 「THE CASK AGING」

ウィスキーの香りがする紅茶、ウィスキー紅茶。

20216月に東急ハンズにて限定販売した「THE CASK AGING(ザ・カスクエイジング)」は、発売後即完売となるほど大きな話題を呼びました。

この話題を生んだのは、ウィスキー紅茶の販売戦略を立案、実行するというお題のもとに集まった株式会社TeaRoom、株式会社東急ハンズ、NewsPicks NewSchool受講生からなるプロジェクトチーム。

ジャパンメイドの新しい可能性に挑むプロダクトの、開発ストーリーをお聞きしました。

 

織内麻衣 :株式会社 東急ハンズ 事業開発部 事業創造グループ グループリーダー

岩本 涼 :株式会社TeaRoom代表。裏千家で15年の茶歴を持ち、お茶や日本文化発信に寄与している。

小澤あゆみ :NewSchool「ブランド・ストラテジー」卒業生。ウィスキー紅茶の販売戦略アイデアコンペ 最優秀賞受賞チームメンバー。

―まず、ウィスキー紅茶とはどういった商品ですか?

 

岩本さん(以下:岩本):一言で言うと「国産のウィスキー樽で熟成させた紅茶」です。

ウィスキーは、原酒を樽に入れて焼き付けを行い、また原酒を入れて…という製造工程を繰り返す事でウィスキーも樽も育っていくのですが、使い終わった樽はほとんど廃棄されてしまいます。

それを私たちが活用させていただく機会がありまして、さらにウィスキー樽と紅茶の香気成分が似ている事に気づき、お茶の香りを増強させる力があるのではないか、と考えたのが開発のきっかけでした。

  

―ウィスキー紅茶の開発期間は?

 

岩本:実用化するためには色々な問題をクリアする必要がありました。

例えば、樽の中に菌が残っていれば茶葉が腐敗する可能性もありますし、アルコールが混入してしまったらお茶として販売できない。このようなウィスキー樽を使って本当に事業化できるのかというチェックに半年~1年ほどかかりました。

また、ウィスキー樽の香りをつけるのに最適な茶葉の選定にも試行錯誤するなど開発には数年かかりましたね。 

 

―今回の協業の経緯について簡単に教えてください。

 

岩本:我々の「ウィスキー紅茶」というプロダクトをどう市場に出していくか考えたときに、クラフトマンシップを理解し、かつその思いを共に伝えてくれる方を探していたところ、ご縁があり東急ハンズさんと出会いました。

お茶業界は全体として、お客様や時代のニーズに応えていかないと衰退の一途を辿ってしまう状況です。コロナ禍によるアルコール離れを逆手に取り、ノンアルコールであることをうまく押し出した商品が生み出せないかというのがこの協業のスタートでした。

  

―今回の試みはどういった点が新しかったのでしょうか?

 

岩本:新商品であるウィスキー紅茶を、「何をもって完成とするのか?お客様にどう届けていくのか?」ということを、実際のターゲットとなる方々にヒアリングを重ねながら、手探りながらも一緒に商品を作っていく体験ができた事でしょうか。

ほとんどの商品は、発売されるまで企業側からの一方通行だと思いますが、商品開発とは本来「お客様が買いたくなるような商品を生み出す」ことが基礎だと思うので、それを実行できたのは非常に良かったです。

 

織内さん(以下:織内):弊社としても、完成した商品を仕入れて売ることが基本スタンスだったところに、商品企画の段階からお客様と一緒に関わらせていただいたことは新鮮な試みでした。

 

NewSchool卒業生・小澤さんのアイデアが選ばれた決め手は?

 

岩本:「どんな人をユーザーとすれば社会全体に広まるのか」という販売設計が非常に戦略的に練られていたことが決め手ですね。

手段は沢山あると思うんですが、販売戦略として不変の部分をご提案いただいたのが大きな理由です。

 

―それはどういった内容だったのか教えてもらえますか?

 

小澤さん(以下:小澤):まず、人はどんなときに飲み物を飲むのか、1日のなかの飲料シーンを整理してみました。

朝は気合を入れてエナジードリンクとか、運動時はスポーツドリンクなど、画像のように整理していき、寝る前には落ち着けるハーブティーが選ばれているのではないかと推測し、ウィスキー紅茶はその代替になり得ると考えました。

 

―この仮説をもとに販売戦略を練られたということですか?

 

小澤:はい。最大の肝はターゲット設定だと考え、自分自身をベースにペルソナを細かく設定していきました。

■今回設定したペルソナ:

・都内在住。仕事はまあまあ忙しい。

・どうせお金を使うなら好きなブランドを応援したり、地球にとって少しよい事をしたい。

・ハーブティーを飲む時間が大好きだけど、なかなか時間が取れずできていない。

 

さらに精度をあげるため同世代の女性にインタビューしたところ、ペルソナに大きなズレはなかったのですが、「丁寧な暮らしに憧れる反面、忙しくて実現できていないときの方が多い。丁寧な暮らしをしましょう、と無責任に勧められるのはイヤ」という本音が見えてきました。このことから、押しつけがましくない商品提案を考えていきました。

 

―ペルソナをここまで作り込むというのは珍しいのでは?

 

織内:そうなんです。いわゆるマス向けの商品企画ではない…そこが弊社にとっての最大のチャレンジでした。最初はとまどいもありましたが、小澤さんたちと議論を重ね、最終的にはターゲットを絞った展開になり、十分な結果もついてきたので大成功でした。

 

小澤withコロナ時代というのもあり、企画段階では紅茶を楽しむ時間の過ごし方のような東急ハンズさんでの店頭展開も考えていて、「言葉と共に寛ぐ」をコンセプトに、小説やエッセイ、曲に合わせて歌詞が表示されるスピーカーなどを展示物にしてはどうかとご提案しました。

―ネーミングやパッケージについてもお聞かせください。

 

小澤:当初は「ウィスキー紅茶」のまま販売しようとしていたのですが、そうするとウィスキーが苦手な方、アルコールが飲めない方の選択肢から外れてしまうのではないかと思い、ネーミングは議論を重ねました。最終的にコピーライターの方にも加わっていただき、「THE CASK AGING(ザ・カスクエイジング)」に決まりました。

パッケージは、設定したペルソナから、気軽に楽しめるカジュアルさと、ユニセックスでシンプルなデザインに仕上げていただきました。ちょっとお高い紅茶は缶に入っているイメージがあると思うんですが、パッと見が紅茶っぽくないところが面白いかなと。

 

―きちんとペルソナがベースになっているんですね。

 

小澤:そうですね。やはりターゲットの好みを考えたときに、サスティナブルやSDGsに関心があるという点が役に立ちました。実は、ティーバッグの素材もTeaRoomさんにかなり探していただいて、環境負荷が少ないものをチョイスしました。

 

岩本:「ソイロン」という土に還る素材を使っています。

―発売前からの大きな反響は、予想していましたか?

 

岩本:目標としていた10,000個に対して、いい意味で期待を裏切る初速だったので、予想以上の需要があることに気づけました。

 

織内:パッケージを見たときから、「これは売れちゃうかも」と思っていましたが、反響は想像を上回るものでした。

お茶は、バレンタインやクリスマス時期には通常より厚めに扱ってはいたものの、関心のある方が実はこんなにたくさんいるということも新しい発見でした。

 

―岩本さんはお茶離れが深刻とおっしゃってましたが、若い世代ではいかがですか?

 

岩本:茶葉を急須に入れて飲む、という昔ながらのイメージからは明らかに離れていますね。ただ、ラテやパフェ、ペットボトル飲料など様々なかたちに替わりながら社会に浸透していることを考えると、需要が激減しているわけではないのかなと。2030代の若い世代に関しては、これまでとは違った形で需要が伸びてきていると思います。

 

―今回の協業を経ての気づきがあれば教えてください

 

岩本:2つありまして、1つはターゲットをきちんと定めれば商品は届くんだという事を実証できたのが大きな気づきでした。

もう1つは、近年注目されているD2Cですが、そこだけでは届かないお客様がまだまだいるなと、東急ハンズさんとの協業によって改めて感じました。

 

小澤:今回、ターゲティングに関してはすごくうまくいき、結果も徐々に出てきていると思います。一方、認知という部分に関してはまだまだ課題があると感じました。知ってもらえさえすれば購入したり、そのために東急ハンズさんに行くきっかけになるくらい魅力的な商品ではあると思うのですが、存在を知られていなかったり、即完売してしまったという印象が拭えていなかったり…今後の販売でも、商品を知ってもらい、どう手に取ってもらうかを引き続きご提案していきたいと思っています。

 

織内:「東急ハンズでしか買えない」という付加価値が、今回の販売に多少なりとも寄与できたのかなと。それによりメディア価値としての東急ハンズを再認識させてもらえたのがうれしかったですね。

また、「役に立つもの」ではなく、「意味のあるもの」を販売して、結果も出せたことに勇気をもらえました。今回、東急ハンズとしてこの取り組みにチャレンジした大きな動機は、ウィスキー紅茶に込められた「クラフトマンシップ」が、東急ハンズの創業理念である「手の復権」に通じるものがあると思ったから。原点に立ち返りつつ、今後にも繋がる重要な一歩になったと思っています。

 

―現在、静岡市との協業も進んでいらっしゃると聞きました。

 

岩本:静岡には、お茶以外にも、わさびや木材など名産品が多くあります。東京から静岡に移住して来た身として、どうにかプロモーションできないかと織内さんに相談したところ協業が実現しました。

 

織内:弊社としても地方自治体と一緒に何かできないかと模索していて、商品を通じた自然な流れでのご縁でした。

これも全国各地に店舗を構える東急ハンズだからこそできる事なのかなとも思っています。

 

―具体的にはどのようなことを?

 

織内:2022年初頭に、新宿店とNewsPicks GINZAの2カ所で、静岡市のPRを実施する予定です。

 

―最後に、これからのwatoteに一言お願いします。

 

岩本:こういった取り組みがある事自体、非常にありがたいと思っています。

地方の産品や伝統技術を使った素晴らしい商品が全国各地に沢山眠っているにも関わらず、間口が広がっていなかったり、適切なコネクションが構築できていなかったりするのが現状です。watoteでは、商品のストーリーを汲んで伝えていただけるのがとてもありがたい。ぜひこれからもさまざまな取り組みを応援していただきたいです。

 

小澤:私も今年4月に東京から地元に戻って来たのですが、地方の個人事業主さんにとって「マーケティング」や「ブランディング」はまだまだ自分とは関係ないものと捉えられているなと感じています。今回の協業で得たものを地元に還元しつつ、巡り巡って、いつかwatoteで紹介してもらえるような、ご縁がつながったらうれしいですね。

 

関連リンク:

THE CASK AGING購入ページ

https://hands.net/goods/2430006072257/

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